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特許について、できるだけ分かりやすく説明しています!スクロールして頂くと過去の内容を閲覧できます。ぜひ読んでみてください!!

Page 14 知財ミックスで製品を保護

 こんにちは! 今回は、前回に引き続き、新製品開発時に効果的な知的財産法の利用を説明したいと思います。

 前回は、新製品を保護する方法として、特許権(又は実用新案権)、意匠権、そして、商標権があることを説明しました。これらのいずれか1つを選んで、新製品の技術的な構造、デザイン、又は商品名を、必要に応じて保護することは、他者による製品の無断販売を抑制する上で非常に効果的です。

 そして、今回説明したいのは、上記の特許権(又は実用新案権)、意匠権、及び商標権の全てを用いて新製品を保護する方法です。つまり、1つの製品について、新たに開発した採用技術を特許権により保護すると共に、見た目のデザインを別途意匠権で保護し、更に、当該新製品の商品名を他者に勝手に使われないように商標権で保護するのです。この方法は、「知財ミックス」と呼ばれています。ネーミングにセンスや捻りがありませんが(笑)、そのように呼ばれています。

 この方法は、理論上は非常に効果的です。新製品に採用した技術が市場で高評価を得ている場合には、その技術を他者には使われないようにして自社で独占できます。これにより、同じ技術が採用された商品が市場に出回らないようにできます。そして、この新製品のデザインが良くて販売数が多くなっている場合には、同様の技術が採用されているか否かに拘わらず、同じような外観の商品を他人が販売できないようにできます。また、この新製品が市場に認められていると、その商品名を手掛かりに消費者の皆さんは当該新製品を購入しますが、このときに、同じような商品名が他者により使用されていると、御社製品を購入しようとした消費者さんが、御社製品を購入せずに、間違えて当該他者製品を購入してしまうおそれがあります。このような場合に、同様の技術やデザインが製品に採用されているかに拘わらず、同じような商品名を使うことを他者にやめさせることができます。

 つまり、せっかく特許を取って技術を保護しても、その製品の外観だけを真似て同じ製品に見せかけた売り方をされると、採用されている技術が違うために、御社製品と勘違いをして消費者さんが他者製品を購入してしまいますが、意匠権により、そのような事態を防止することができます。また、採用されている技術やデザインは御社製品とは違うのに、商品名だけが真似られた他者製品が売り出されたとき、商標権に基づいて商品名の使用停止を求めることで、御社製品と勘違いされて購入されることを防ぐこともできます。

 このように、知財ミックスにより新製品の保護を図ることは有効です。しかしながら、複数の権利を取得する必要があるので、権利取得のための費用がその分高額になります。ここは欠点です。この欠点を回避するには、知財ミックスによる保護を狙うことを明確にして1つの事務所に相談することが重要です。一箇所で纏めて権利取得の作業をすることにより権利取得のための作業を効率よく行ってコストを低減させるのです。しかしながら、特許権、意匠権、及び商標権は、それぞれに専門性が求められるので、単にコストが安いだけでは不安です。

 このため、弊所では、知財ミックスによる効果を確保する専門性を提供しつつ、権利取得費用を低減できるチームを準備しています。最近は、知財ミックスが巷で取り上げられるようになりましたが、弊所ではこのチームで対応しています。何でもご相談ください!

 大谷選手のタイトル獲得、阪神の優勝も、まだまだ期待できる感じです。秋まではこれで楽しめますし、年明けは冬季オリンピックで楽しむことができますね。その頃には、コロナの状況も落ち着いているよう願っています!

Page 13 知的財産法で製品を保護

 こんにちは! 今回は、新製品開発時に効果的な知的財産法の利用を説明したいと思います。

 業務上、新製品を開発した場合、その製品の品質が良いほど、或いは、市場での評判が良いほど、他者に類似品を製造販売されるおそれが高まります。新製品の開発には多大な開発費が掛かっていますので、他者の模倣を野放しにせず、なんとか抑えておきたいものです。

 新製品を保護する知的財産法としては、まず、特許法があります。特許法は、まだ世の中に知られていない新規技術を保護の対象としています。このため、開発した製品に使っている技術が知られておらず新しい場合は、特許法による保護を受けることができます。特許出願をして特許権を取れば、他者による類似製品の製造や販売を止めさせることが可能になり、他者による販売等で損害が発生した場合は損害額を賠償してもらえます。特許法による保護対象は、技術(技術的思想)ですので、他者による類似製品の名前やデザインが自社製品と異なっていても、使われている技術が同様であれば、保護を受けることができます。

 なお、特許権は、特許庁の審査官による審査を通過しないと特許権が付与されず、保護を受けられないのですが、実用新案法による保護であれば、特許法による場合のような審査を経ることなく実用新案権が付与され、新規技術について保護を受けることができます。但し、無審査で付与される実用新案権であるがゆえに、後から権利無効が発覚したりと、権利行使ができないこともあります。特許による保護との使い分けが重要になります。

 次に新製品を保護する知的財産法として、意匠法があります。意匠法による保護対象は、物品のデザインです。新製品に新しいデザインを採用した場合に保護が受けられます。新製品のポイントがズバリ見た目である場合には、意匠法による保護は有効な手段です。たとえば、他者の類似製品のデザインが自社製品とよく似ている外観である場合には、審査を経て取得した意匠権を根拠に「そのデザインは止めてほしい」と言うことができます。意匠権により、他者による類似製品の製造や販売を止めさせることが可能になり、他者による販売等で損害が発生した場合は損害額を賠償してもらえます。

 更に、商標法による保護も受けることができます。上記では、特許法等による新規技術の保護、意匠法によるデザインの保護を説明しましたが、新製品を販売するときに使用している商品名については、商標法による保護が受けられます。つまり、審査により商標権を取得すれば、新製品と同じだったり似ているような名前を、他者が製品に使えないようにすることができます。新製品が特に新規技術を使っていなかったり、特徴のあるデザインではなかったとしても、同じような名前で同じような製品を他者が販売することを止めることができてしまいます。この場合も、販売の停止や損害賠償を請求できます。

 このように、新製品を販売される場合には、知的財産法による保護が受けられる場合がありますので、新製品を販売される際には、保護を受けることを検討されてはと思います。知的財産法により、ぜひ自社の新たな活動を他者から守られては、と思います。

 今度は東京パラリンピックが始まりました。大リーグの大谷選手や国内プロ野球の阪神も今年は面白くなっています。まだまだ暑いですが、楽しみは多くありますね!

Page 12 弁理士の仕事2

 こんにちは! 今回は、前回に引き続き、弁理士の仕事について具体的な内容を説明したいと思います。

 弁理士は、業務の1つとして、特許庁に特許出願をしますが、これに続く業務として、特許庁の審査官に対する応答があります。特許庁に対して特許出願と、これに加えて審査請求という手続をしますと、しばらくして、特許庁の審査官から審査結果が届きます。最近は、早期審査という請求をしますと、1~3ヶ月程度で審査結果が届きます。

 いくら良い内容の特許出願をしても、審査官から審査結果の通知が届いた後は、審査官とのやり取りがうまく行かなければ、特許権を付与してもらえませんで、審査官に対する応答は非常に大切なんです。

 ここで、審査官から審査結果が届く、というのは、審査の結果、発明の内容が不明確だったり、特許を求める発明に似た他の技術が見つかったりで、未だ特許にはできません、という書面が審査官から届く、という意味なのです。一方、審査において、発明の内容が明確で、特許を求める発明に似た他の技術も見つからない場合は、このような書面は届かず、特許付与を示す特許査定というものが届いて、審査官とのやり取りをすることなく特許を付与してもらえます。しかしながら、実は、このように特許出願後にすんなりと特許査定が届くことは余りありません。私の経験では、40件に1件くらいでしょうか。なので、ほぼ全ての特許出願に対して、一旦審査官から否定的な内容の書面が届きます。

 このため、特許出願をすると、必ずと言っていいほど、審査官から否定的な内容の書面が届くわけです。皆さんも、特許出願をする機会があり、審査官から否定的な内容の書面が届いても驚かないでください。これは当たり前のことなんです。

 そして、このように否定的な内容の書面が届いた後、審査官とのやり取りをして、特許を付与してもらえる方向にもっていく、という作業を弁理士が行うわけです。この書面に応答せず、そのまま放置しますと、特許を付与してもらえることはありませんが、適切な対応を採れば、特許を付与してもらえますので、この応答が非常に大切なのです。この作業は、弁理士の仕事ですが、特許出願人である依頼人との共同作業でもあります。発明の内容は、依頼人こそが知り尽くしているわけですので。そして、ここで覚えておいて頂きたいのは、この応答において、発明の内容を明確にして、特許を求める発明に似ている他の技術との違いを明確に説明できれば、特許にしてもらえることも多い、ということです。

 具体的なやり取りを説明したいところですが、今回はここまでにしておきます。前回の記事は説明しすぎて重かったように思いましたので。。。

 東京オリンピックが始まりましたね。数年前には、このようなオリンピックになるとは全く思っていませんでしたが、やっぱり選手達の活躍は清々しくて、応援が楽しいです!!

Page 11 弁理士の仕事1

 こんにちは! 今回は、弁理士の仕事について具体的な内容を説明したいと思います。

 弁理士の仕事は、その多くが特許庁に特許出願を行って依頼人のために特許権を取得する、或いは、特許庁に商標登録出願を行って依頼人のために商標権を取得する、という業務です。ここでは、特許出願を行って特許権を得る業務を説明します。

 まずは、特許権を取得したい依頼人から、特許出願をしたいという連絡を受けます。そして、特許出願をするために必要な作業、特許出願を特許庁に対して提出した後の作業の流れを、依頼人に説明します。特許出願をするために必要な作業は、特許を取得したい発明の内容を秘密状態に保ってもらうこと、当該発明の内容を示す資料を揃えてもらうこと、出願人を誰にするか、発明者は誰か、等を打ち合わせます。また、特許出願を特許庁に提出した後、それだけでは、特許権を得ることはできず、特許出願とは別に、審査請求という手続をして審査の開始をお願いすること、この審査を通らなければ特許権が得られないこと、審査官との間で様々なやり取りをしなければならないこと、特許が認められたときは年金を支払わなければ特許権が発生しないこと、等も説明します。

 このような説明が終わると、次は、特許出願をする発明の内容の聞き取りのために、依頼人と打ち合わせを行います。弁理士は、発明内容を把握しないと、特許出願についての各書類を作成できませんので…。この打ちあわせは、依頼人にとっても弁理士にとっても重要な作業です。発明内容を正確に把握しないといけないので、今回新たに開発した技術を示す書類や図面を用意して頂いたり、目的の効果を得るための構成や処理を細かく尋ねるのですが、これがなかなかに大変です。依頼を受ける技術内容も多種多様です。

 そして、発明内容の把握が終わると、同じような内容での特許出願が既に他人によりされていないか、正確には同じ内容の発明についての特許出願が既に公開されていないか、の確認を行います。いわゆる先行技術調査です。特許は、社会に知られていない発明にしか与えられませんので、既に公開されていたり、他人により特許が取られていますと、特許出願をする意味がないからです。この調査により、既に公開されている、他人により特許が取られている、といったことが判明しますと、今回ご提案の内容では特許出願はできないことを依頼人に報告することになります。

 そして、上記調査により、既に公開されていない、他人により特許が取られていない、といったことが判明した場合に、特許出願書類の作成に取り掛かることになります。把握した発明内容を書類に書き起こしていく作業です。技術分野、背景技術、解決課題、発明による効果、発明を実施するための形態などを文章で説明し、図による説明が分かりやすいことから、発明内容を示す図面も作成します。出願後の審査が通りやすいよう、将来特許権が得られたときの権利範囲を十分なものにするよう、多くのことを検討して作成します。まあ、ここが弁理士の腕の見せどころになります。しかしながら、この作業はとてつもなく根気のいる作業なんです。新しい技術は本当に難しいですし、今回の発明ポイントを的確に示さないといけないですし、従来技術との差を分かりやすく説明する必要もあります。

 特許出願書類の作成を終えると、依頼人との更なる打ち合わせです。作成した書類に記載した内容が依頼人の望み通りかどうかを確認し、希望通りに修正します。この作業は繊細な複雑な作業です。

 依頼人の考え通りの書類が完成し、依頼人から了承を頂いたら、特許庁に対して特許出願の手続をします。今はオンラインで手続をしますので、紙での郵送は行いません。

 特許出願の手続が終わりましたら、次は、審査請求という、特許庁に審査の開始をお願いする手続を、特許出願とは別に行います。この審査請求を普通にすると、審査請求手続から6ヶ月~1年くらいで、審査官による審査結果が届くのですが、審査をもっと早くに進めて欲しいという依頼人さんが多いので、更に、早期審査請求という手続もします。これは、今回出願した発明がなぜ特許になるべきか、みたいなことを説明する書類を作成して、審査官に審査を早く進めて貰うことをお願いする手続です。この手続により、審査官から審査結果か得られるのが、お願いしてから1~3ヶ月程度に早まります。この手続を終えますと、審査官からの連絡待ちの状態になります。

 特許出願を終えるまでの作業は、こんな感じですが、発明の内容を説明する、という作業は本当に根気のいる作業です。出願後に、特許権を得るために、特許付与を求める発明の内容を修正して、従来技術との差が更に明確になるようにしていくのですが、この修正は、出願当初に上記書類に記載した内容の範囲内でしかできません。このため、出願時に必要なことを全て書類に記載しておく必要があり、集中力が必要です。

 こんな感じで、特許出願を終えますが、この後は、しばらくすると、審査官から審査結果が届くわけです。最初に提出した記載内容のままで特許にしてもらえることは少ないので、ここから、特許権を取得するための次の段階の作業が始まります。

 次の作業はまた来月に説明したいと思います!弁理士の仕事を具体的に理解してもらえると大変嬉しいです。来月もぜひ読んで頂ければと思います。

Page 10 セルフレジと特許侵害訴訟

 こんにちは! 今回は、ユニクロのセルフレジについて、また話したいと思います。あっ、前回はPage6で話しました!

 ユニクロのセルフレジは、本当に便利で楽しく、あのセルフレジで精算をするためにユニクロに行きたい、と思うほどです(笑)。そして、皆様も御存知のように、ユニクロはこのセルフレジについて特許侵害で訴えられており、まだ結論は出そうにありません。

 現在、ユニクロは、セルフレジについて、大阪のアスタリスク社から特許侵害で訴えを受けています。そして、ユニクロは、対抗策として、この訴訟の元になっている特許の無効を主張して、特許無効審判を提起していました。特許が無効になるという意味は、その特許が最初から無かったことになる(遡及して消滅する)ということなんです(つまり特許法は、特許を消滅させる制度も採用しているんです!)。特許庁により特許が無効とされ、この特許が無かったということになれば、ユニクロは、「いやいや、この機械はこういう仕組みなんで、特許発明の要素を全て備えているわけではなくて…」といったやりとりとをするまでもなく、特許侵害の問題から解放されるわけです。このため、この無効審判の結論が確定するまで、特許侵害訴訟は結論を出せずに止まっています。

 今回の無効審判では、その結論がやっと出て、紆余曲折を経て結局、特許は有効として存続することになりそうです。なので、特許訴訟は結末に向けて進み出すことになりました。このまま、円滑に審理が進んで、ユニクロにはこのままセルフレジを採用し続けてもらい、アスタリスク社さんにもその対価として、お互いに納得する良い金額のライセンス料が入る、という結末になってくれれば…。ユニクロのセルフレジは素晴らしいし、特許権を有効活用するアスタリスク社も応援したいです。

 このようになれば良かったのですが、実際は、厳しいビジネスの世界、事情は複雑です。ユニクロは、この特許について別の無効審判も請求しているのです。実は、特許を無効にする証拠と理屈が異なれば、実質的には特許無効審判は何度もできます。そして、この2つ目の無効審判では、現在のところ、特許が無効になりそうな気配があるのです(未だ分かりませんが)。

 ということで、この特許紛争はまだまだ結論が見えないのです。2つ目の無効審判で特許無効とされても、これの取消を求める訴訟がされるでしょうし、また、2つ目の無効審判で特許が無効にならなくても、再開した訴訟の審理では、侵害だ、侵害じゃない、という話がまだ続くのかもしれませんし。

 今回も、消費者目線で(?)、色々と話してみました。ユニクロにとってもアスタリスク社にとっても双方が納得できる円満な解決が導き出されることを願っています! このように言うと、プロらしくないかもしれませんが。。。まあ、正直な気持ちです。

 コロナ、なかなか収まりませんねえ。もう2021年6月なんですけど。。。

Page 10 外国事務所との連携

 こんにちは! 今回も、外国で特許を取得する場合の話です。

 外国で特許を取るためには、特許を取りたいそれぞれの国で特許出願をして審査を受けて、特許付与を求める手続をすることが必要です。このため、各国で弁理士又は弁護士にその国での特許庁及び審査官とのやりとりをお願いしないといけません。このため、日本の各特許事務所は、諸外国の特許事務所や法律事務所とは、親密なお付き合いがあります。

 しかし、そうなると、どのようにして色々な国の弁理士や弁護士と親しくなるのか、という疑問が出てくると思います。答えは、1つ1つの事務所や一人一人の弁理士と知り合いになる、という至ってシンプルなものです。

 1つのパターンは、外国の弁理士が日本の各事務所に訪問に来る、というパターンです。日本は世界有数の特許出願大国で出願件数が多く(昔は世界一でした)、外国への出願件数も多いので、各国の弁理士又は弁護士、或いは営業スタッフ(?)が、日本の特許事務所に挨拶に来ます。このときに、日本の事務所側としては、外国出願を依頼できる事務所や弁理士を確保できる、というわけです。訪問してくるのは、国別にみると、米国、中国、韓国、インド、ドイツが多いですね。世界中の国から弁理士が訪問してくる、という訳ではないです。日本からの出願は、これらの国に対してのものが多いので、日本の事務所としては、これで事足りる場合もあります。

 個人的に面白いと思うことがあります。欧州の国で特許を取る必要があり、日本から欧州に出願するときは、欧州特許条約に沿った特許出願を欧州特許庁に提出することが多いのですが、その場合、欧州特許条約の加盟国であれば、どの国の弁理士(欧州特許弁理士)でも欧州特許庁に出願手続ができます。しかしながら、日本の事務所が依頼するのは、ドイツの事務所であることがかなり多いのです。欧州特許出願は英語でできますので、依頼先も英語圏の事務所の方が便利かと思いきや、なぜか皆ドイツの事務所に依頼しています。英国ではないんです。ドイツでも英語でやりとりできるからドイツで、というのは、スペインやフランス、ポーランドを選ばない理由ではないですよね。どの国でも、英語でのやりとりはできますので。色々な人に聞いてみましたが、本当の答えは分からないです。営業力、イメージ、日本との交流具合等、色々と考えられますが、国としてのブランドイメージって大切だなあ、と感じました。

 そして、2つ目のパターンは、各種の国際ミーティングや会議に出席して、そこで交流してネットワークを作る、というパターンです。こちらの話は、また次回にでもしたいと思います。

 欧州と聞けば一番先に思いつくのは、少なくともビジネスにおいては、ドイツなんでしょうね。旅行やスポーツだと、スペイン、イタリア、フランス、ウィンブルドン(英国)、ノルウェーの森(笑)、かもしれませんが。

 では、アジアといえば、外国の方々にとって、どの国が一番先に思い浮かぶのでしょうか?日本ということでよいのでしょうか?今ならやはり中国でしょうか。ビジネス戦略に長けたシンガポールかも?それとも、工業に加えて、エンターテイメント産業も好調な韓国でしょうか。国としてのブランドイメージって本当に大切だと思います。

Page 9 外国で特許を取るには?

 こんにちは! 今回は、外国で特許を取得する場合の話です。

 今までは、日本国内で特許を取る場合を前提にお話ししてきました。そして、日本で取得した特許権は、日本国内にのみ効力が及びます。米国などの諸外国では、日本で取得した特許権を行使することはできません。

 では、外国でも特許権を行使したい場合、つまり、外国でも自身の製品について他人による製造販売をさせず、自分だけで独占的に製造販売したい場合にはどうすればよいでしょうか。この場合は、特許権を行使したい国で特許権を取得すれば、その国で特許権を行使できる状態になります。例えば、ある企業さんが、新規に開発した製品を日本はもちろん、韓国やタイ、更に、米国でも製造販売したい、と考えているとします。この場合は、日本、韓国、タイ、及び米国の全ての国で特許権を取得すれば、各国で自社製品を独占的に製造販売できる状態を作れる、ということになります。

 一般には「世界特許」なるものがあるように思われがちです。1つの「世界特許」を取れば全世界で特許権を行使できる、みたいな。しかしながら、そのような「世界特許」は未だに存在しません。やはり、各国でそれぞれ特許権を取得しないと、その国で自社製品を独占的に製造販売できる状態にはならないのです。

 それでは、各国で特許を取るためにはどうすればいいか、ですが、これはシンプルに、それぞれの国で特許出願をして審査を受けて、特許付与を求める手続をする、ということになります。こうなると、国別に書類を作って、各国でそれぞれ特許事務所に頼んで、いや、そもそも、その国の事務所に連絡するなんて面倒、という話になってくると思います。このため、複数国で特許を取りたい場合は、日本の特許事務所に外国での特許取得のための手続を依頼すれば、各国での特許取得の手続を取り次いで管理をしてくれます。早い話、日本の特許事務所に依頼するだけで、諸外国での特許取得が何とかなる、というわけです。

 このため、弊所でも、諸外国の特許事務所や法律事務所とは、親密なお付き合いがあり、広くて深いネットワークがあります。どの国に対しても特許取得のための手続を円滑に行うことができるようになっています。「あの国で特許を取りたいなあ」と言えば、それだけで手配をすることができますよ!

 でも、そうなると、どのようにしてそんな色々な国の弁理士や弁護士と親しくなるのか、という疑問が出てくるかもしれません。このあたりの話や諸外国で特許を取るための実際の所内作業など、次回にお話ししたいと思います。というか、特許事務所の仕事を皆さんに知ってもらいたい、という気持ちが強いのですが(笑)。

Page 8 新製品に採用される次の技術を探れ!

 こんにちは! 今回は、企業が将来発表する技術や製品が事前にわかるかも、という話をしたいと思います。

 以前からお話していますように、新しい製品を開発した場合には、特許出願をして特許権を取得しておくと、他者が同様の製品を製造販売することを止めることが可能になります。なので、各企業は製品を開発したときには必ず特許出願をするわけです。と言っても、新たな車が開発されたからといってその車自体が特許出願されるわけではありません。車の場合だと、エンジンの一部の部品だったり、ディスプレイの表示制御だったり、或いは、施錠技術など、ありとあらゆる細かな技術について特許出願がされます。たった1つの製品に数百の特許出願がされることもあります。

 それで、ここでお伝えしたいことは、既に他人に知られている場合は特許が取れないため、特許出願は新製品や新規技術が他人に知られる前にされる、ということなんです。そして、特許出願は、出願日から1年6か月後に特許庁が公開公報により公表することになっています。新製品に採用される技術は、販売の何年も前に開発されて特許出願されていることも多いので、この特許庁の公開公報を調べることで、今後の各企業の技術開発動向がわかる、というわけです。

 このため、あるメーカーのスマートフォンに採用される次のディスプレイはどのような形式か、新車に採用される自動運転制御に採用されるのはこのセンサーか、この通信規格にはこの暗号化技術が採用されるのか、などを、公開公報に記載されている企業名や、発明の名称、出願時期、そして勿論、特許出願をなす明細書や図面から、予測可能なのです! この公開公報は、企業が他の企業の技術開発動向を調べたり、公報に開示されている技術を参考に更なる新規技術を開発するために用いたりすることが多いのですが、ネットで簡単に誰もが見られますので、興味本位で個人的に、新製品に搭載される規格やデバイスを予測して楽しむこともできます。

 このことから、最近では、公開公報を調べて、次世代のスマートフォンに採用される技術を知らせるネットニュースも多く見かけるようになりました。皆さんも、興味のある製品について、次の展開を調べてみてはどうでしょうか。暇つぶしにはなると思います…

Page 7 特許庁の審査

 こんにちは!今回は、特許庁のお話、特に、審査についてのお話をしたいと思います。

 特許を取得したい場合、特許を取りたい発明の内容を特許出願書類に記載して、この特許出願と更に審査請求書を特許庁に提出します。特許庁がこれらの書類を受け取ると、審査官が審査を始めます。ところが、この審査、十数年前までは、大変に時間が掛かっていたんです。上記の審査請求書により審査をお願いしてから一応の審査結果が得られるまで、数年かかっていました。当時は、日本の特許出願数は40万件を超えており、審査の手が足りていない状況で、審査に長期間を要するのが当たり前でしたので、審査が遅いという感覚はなかったように思います。

 しかしながら、審査が遅れるということは、特許出願した発明の特許化が遅れるということになります。企業が、製品開発から販売までを迅速に進めたいのに、特許が取得できるまで何年もかかっていたのでは、販売時に製品を特許で保護できない事態になりかねません。

 一方、他国では、日本よりも早く審査が進んでいる国もありました。例えば、米国は日本よりも審査が早かったです。そうすると、同じ発明を日本と米国に同時に出願した場合、米国では特許が取れて発明が保護されているのに、日本ではその発明は未だ保護が受けられていない、という事態が生じます。新規発明の保護について各国で差が出てしまいます。このため、審査期間を短縮する必要がありました。また、条約上の要請で、審査期間を早めなくてはならないという事情もありました。

 そこで、特許庁は、審査官の増員や審査に必要な調査の方法の改善等に取り組み(他にも多々改善されたと思いますが)、審査期間を短縮させました。今では、約6か月で審査結果が届きます。更には、早期審査という制度を利用すると、審査請求をしてから2か月程度で最初の審査結果が得られるようになりました。現在では、同じ発明を日本と他国に同時に出願したとき、日本での審査が最も早く進むようになりました(あくまで私の感覚ですが)。

 今では審査が早くなりましたので、特許出願から6ヶ月程度で特許取得に至る、ということも珍しくありません。特許制度は、製品開発から販売までを迅速に進める企業さんにとって、非常に使いやすいものになりました。また、個人事業主や小規模企業に対しては、審査請求料の減免措置を採っているため、審査に要する費用も以前よりも低額になっています。審査請求料は本来14~20万円ですが、減免措置により1/2,1/3となります。費用面でもかなり使いやすいものになりました。

 このように、特許制度は以前よりもユーザーフレンドリーなものになりました。事業で製品開発をされる際には、ためらわず特許取得を検討してみるのも一案です。

 なお、実務の体験上、日本の特許庁は、他国の特許庁に比べて、審査や手続面におけるサービスでかなり優れているように私は感じています。以前、日本は技術開発が盛んで企業からの特許出願件数が多かったため、特許業務に関しては世界をリードできていたからだと思います。他国の追い上げもありますが、日本の特許庁は他国の特許庁よりも優れた行政機関です。コロナ対応などで日本の行政に対する批判も出ていますが、この点に関しては安心してよいのではないでしょうか。あくまでも私見ではありますが…

Page 6 最近のセルフレジに驚いた!

 こんにちは!

 最近は、多くの店舗でセルフレジの導入が進められています。最も身近なところでは、コンビエンスストアでしょうか。このコンビニのセルフレジは、店員さんがするバーコード読取作業をお客さんが代わってするものですね。読取作業が終われば、クレジットカードか電子マネーで支払いを済ませます。慣れると結構気楽なので、あえてセルフレジを利用することも多いです。商品選びから支払いまで全て自分自身で完結できますので、こうなってくると、店員さんに毎回「ありがとうございました!」と言ってもらうのが心苦しく感じてきます。

 そんなセルフレジでも、今話題になっているのがユニクロのセルフレジです。ユニクロのセルフレジは、コンビニのようにバーコード読取をしなくてよく、買いたい商品を入れたカゴを、レジ台に作られた窪みに入れると、全ての商品の価格の合計が即座にディスプレイに表示される、というものなんです。コンビニの場合と違ってバーコード読取作業がないので本当にもう一瞬で会計が完了します。すごいことなのですが、服飾店で全てセルフ作業だと少し侘しい気もします(笑)。百貨店での買い物とは一線を画しています。

 そんな凄いセルフレジを採用するユニクロですが、実は、他者の特許権を侵害しているのではないか、と訴えられているのです。特許権者とユニクロとがお互いに持っている考えはそれぞれ複雑なのですが、要するに、ユニクロは特許権の存在を知っていたものの、この特許権を侵害していないと考えていて、特許権者は特許を侵害していると考えていて、紛争になっているわけです。

 それで、まあ私がここで説明したいことですが、それは、技術開発時に特許権を取得しておけば、たとえ相手が大手企業であっても特許発明を自由には使い難くなる、ということです。特許で押さえておいて、他の企業には製造販売させず特許権者自身で独占的に販売することも可能ですし、他の企業に使用させてライセンス料を徴収することも可能になります。特許庁に提出した書類だけで特許が取得でき、特許を取得しているだけで、有名企業でさえ、この特許を気にしながら業務を行わなければならなくなるのです。

 今回のユニクロの件ですと、特許権者は、ユニクロに使ってもらって、ライセンス料を貰うのが最も効率がいいですね。しかし、ユニクロも、侵害していないという考えを持っていますし、特許を無効にする審判も請求していますので、結末はどのようになるのかは分からないです。私の全くの個人的な意見としては、あのセルフレジはすごく好きなので、ユニクロにはこのまま採用し続けて頂き、特許権者にはその対価として、お互いに納得する良い金額のライセンス料が入るといいな、と思っています。もちろん、侵害していないとの結論になったり、侵害しているとの結論でユニクロがセルフレジ撤去、とかになったりするかもしれませんが。

 今回は、特許が活用されている事例として身近な話題に触れてみました!今年は本当に大変な年でしたが、しばらくは寒さを我慢して、良い春を迎えたいですね。春にはどうか綺麗な桜が見られますように!

Page 5 特許権を上手く使って製品販売

 こんにちは!

 特許による保護を得つつ販売を行うには、特許権を取得していることが大前提となります。そして、今までにお話ししましたように、特許権は、新しい技術に対してのみ付与されます。このため、特許により他者による同一製品の販売を抑制しながら新製品を販売したい場合には、新製品の販売前に、特許を取得しておくことが最も望ましいです。そうすれば、新製品の販売開始時点から、新製品に特許番号を表記して、他者による同一品の販売を牽制できます。

また、新製品の販売開始前(正確には公表前)に、なんとか特許出願さえしておけば、新製品の販売後であっても、特許を取得することはできます。この場合、販売開始後であって特許が取得できた時点以降は、他者による同一品の販売を牽制することが可能です。

 まあ、牽制だけでなく、損害賠償請求だったり、販売差し止め請求だったりと、色々とできるのですが、これらは、前回お話ししましたので、ここでは触れないようにしますね。

 従って、特許により他者による同一製品の販売を阻止したい場合は、新製品の開発段階から、特許出願を検討しておく必要があります。最低でも、新製品の販売前に特許出願はしておかなければなりません。簡単にいえば、特許事務所に相談しておいた方がよいです。

 なお、新製品の販売開始後であっても、販売開始から1年以内であれば、この期間内に特許出願をすることで、特許法の例外規定により、特許権の取得は可能です。基本的には、上記のように、新製品の販売開始前に特許出願をしなくてはならないのですが、実際には、新製品の販売前に特許出願をしておくことが難しい場合も多いため、このような取り扱いが認められています。特許出願は、実は面倒な作業で、新製品のどの部分について特許を取得したいかを特定し、特許を取得する部分を特定した上でその内容を書面で説明する必要があります。このため、特許出願をしようと決めてから、特許出願を完了できるまでには、平均1ヶ月程度の期間が必要です。しかしながら、実際には新製品の開発、製造、及び販売に奔走していて、じっくりと特許出願の作業のための時間を確保することなんてできない、ということが多いです。なので、新製品の販売開始から1年以内に特許出願をしているのならば、例外的に特許権を付与する、という規定がおかれています。

 まとめますと、特許権により他者の同一製品の販売を阻止しつつ新製品の販売を行うには、(1)販売前に特許取得、(2)無理なら販売前に特許出願だけはしておく、(3)それも無理なら新製品の販売開始から1年以内に特許出願をする、ということになります。

 というか、シンプルにいえば、新製品の販売を思いつかれたら、まずは、相談をしてみる、ということですね。特許事務所が最もよいですが、税理士さんでも、司法書士さん、弁護士さん、銀行員さん(?)など誰でもよいので、まずは相談をしてみてください。きっと弁理士につながりますので。ここで忘れないで欲しいのは、新製品の具体的な内容までは相談の段階では話さないようにすることです!特許が取れなくなりますので。新製品のために特許が取りたいけど…という程度の相談がいいですね。

 実は、他者による邪魔な販売を阻止しつつ製品の販売を行うには、特許権以外にも、意匠権や商標権を使うという方法もあります。これについては、またお話ししたいと思います。今回は、軽い話をと思っていましたが、あまり軽くないですね。失礼しました。次回こそ、軽くて面白い内容にしたいと思います!

 

Page 4 特許権をどのようにして活用するか 2

こんにちは!前回から、特許権を取得した製品を他人に無断で製造販売されてしまうことを、どのようにして防ぐかをお話ししています。

 特許権を取得しても、他人が特許製品の製造販売等を自主的に控えるとは限らないので、(1)特許権者が自分自身で自社製品が特許であることを積極的に広告する、(2)特許製品を無断で製造販売している他者に警告書を送る、ことにより他者による無断での特許製品の製造販売等を控えてさせる、といった策を説明してきました。

 これら(1)(2)により他者が製造や販売をやめてくれればよいのですが、これらを無視して、他者は、特許製品の製造販売をやめないこともあります。このような事態となった場合には、更に次の一手を打つことになります。

 このような次の一手としては、訴訟を提起する手段があります。他者が権利者に無断で特許発明を事業として実施することは違法行為なので、裁判所の力を借りて、他者による無断での特許製品の製造販売等をやめさせるのです。具体的には、裁判所に対する訴訟提起により、特許侵害品について差し止め請求を行います。そして、他者の侵害を認める判決が確定すれば、裁判所の力で、他者による無断での特許製品の製造販売等をやめさせてくれます。

 この訴訟による解決としては、更に、損害賠償の請求があります。上記の差し止め請求は、他者によるこれからの特許製品の製造販売等をやめさせるものなので、既にされてしまった侵害行為に対しては効果がありません。このため、既にされてしまった侵害行為により特許権者に損害が発生している場合には、その損害分を金銭的に支払ってもらうことを請求するのです。例えば、他者による特許製品の勝手な製造販売等のせいで、特許権者が販売する特許製品が売れなくなってしまい、本来は1000個売れるはずなのに500個しか売れなかったような場合は、この500個分を売り上げることで得られたはずの利益分を損害として侵害者に請求します。また、他者が勝手に販売した分について、ライセンス料を請求することもできたりします。裁判所による、このような損害賠償請求を認める判決が確定すると、侵害者である他者は、請求された金額を支払わなければならなくなります。

 これら差し止め請求及び損害賠償請求は、特許権を取得しているからこそ、できることです。特許権は、取得するだけで寝かせておくと効果が少ないですが、実際に動いている事業で販売している製品について取得しておくと、いざというときに有効に機能します。

 今回は、話の内容が固くなってしまいました。。。今後は、軽い気持ちで面白く読んで頂ける話を展開していきたいと思います。次回も読んで頂ければ嬉しいです。

Page 3 特許権をどのようにして活用するか

 こんにちは!前回は、特許権の内容や取得方法をお話ししました。今回は、特許権を取得した後はどのように活用すればよいのか、をお話ししたいと思います

 新たに開発した新製品について無事に特許権を取得できたとしても、特許庁に特許権の発生が登録されているだけでは、あまり意味がありません。特許権が発生すると、特許権の対象となっている製品等については、基本的に他人が勝手に製造及び販売することはできなくなるのですが、他人は特許権の存在を知らないことが多いのです。

 特許庁は「公報」を発行して国民全員にその特許権の内容を知らせるのですが、その公報は通常一般の方々の目にとまるものではありません。特許権の内容を知りたい人がウェブサイト等で調べて初めて知ることができるもので、一般家庭や企業に特許庁から自動的に公報が送られてくるようなものではないのです。このため、特許権を取得しても、他人が自ら、特許権の対象となっている製品等の製造や販売をやめてくれることは少ないです。

 ではどうするのか?ですが、まずは、特許権者が自分自身で特許権の内容、すなわち、自社製品が特許であることを積極的に発信する策があります。例えば、(1)製品自体やそのパッケージに特許番号等を記載し、製品を目にした他者に特許の存在を知らせるとか、(2)製品のカタログや販売ウェブサイトに特許を取得していることを明記しておく、といった方法があります。これらにより、他者が、「あっ、この製品には特許があるのか。では同じ製品や似た製品の製造販売を控えよう」という気持ちになることを期待します。これで控えてくれれば、かなりの効果です。特許権者は製品の販売を独占できます。

 しかしながら、他者が、特許の事実を知っても、その製品の製造や販売をやめない場合もあります。自分の製品は特許製品には該当しないと信じ込んでいる場合もあります。そのような場合には、次の策として、その他者に警告書を送る方法があります。「あなたの製造販売している製品は私の特許権を侵害するから直ちに製造や販売をやめてほしい」と伝えるわけです。これにより、他者の製造販売を牽制し、やめる方向に導いていくわけです。

 そうは言っても、警告書を送ってもその他者が製造や販売をやめない場合もあります。他者は、警告書をみても、自分は何も間違ったことはしていない、と考えることも多いですし、自分の製品は特許製品には該当しないと確信していることもあります。このような事態となった場合には、更に次の手を打つことになります。

 それで、次の一手なのですが、字数が多くなってきましたので、今回のお話はここまでとしましょう。次の一手は次回ということで。今は既に涼しくなっており、毎日眠りやすくなりましたし、食事も美味しくなってきました。皆さんに過ごしやすく快適な生活を楽しんでいただくためにも(?)、このお話はのんびり進めて行きたいと思っています。次回も読んで頂ければ嬉しいです!

Page 2 特許権とは?

 こんにちは!今回は特許権についてお話ししたいと思います。製造業等の方は、新たに開発した新製品を販売するときに、この新製品を他人に真似されたくない、自社だけで販売を独占したい、とお考えになると思います。このような場合に、新製品を他人が勝手に販売できないようにできるのが特許権です。例えば、製造業の方が、新製品を販売するとき、この新製品に特許を持っていれば、他人による同じ物の販売を止めたり、勝手に同じ物を販売された場合に賠償を請求できたりします。

 では、特許権は、どのようにすれば取得できるのでしょうか?特許権は、新技術の開発と共に勝手に発生するわけではありません。特許権は、特許庁という役所に特許出願(特許申請)をしなければ取得することができません。特許庁に特許出願をし、審査官による審査を経て、特許権が付与されます。この審査では、新しい技術(発明)について、新しさ(新規性)、難しさ(進歩性)、産業において利用できるか(産業上の利用性)の有無が判断されます。新しい技術にこれらがある場合に限り、特許が付与されます。

 ですので、特許を取得したい場合は、まず特許出願をすることが必要です。そして、特許出願には、審査官が上記の審査ができるように、新しい技術(発明)の内容を書きます。そして、特に注意が必要なのは、上記の「新しさ」は、他人に知られていないことを意味するので、基本的には新製品の販売前に特許出願をしておかなければならないことです。

 このような特許出願ですが、まともに審査をしてもらえるように新しい技術(発明)の内容を書くことは、なかなか大変です。このため、特許事務所は、発明者さんから依頼を受けて、特許出願書類を作成して、特許取得までの特許庁とのやりとりを行っています。特許事務所の存在意義の1つですね。

 このように、製造業等の方々にとって、新たに開発した新製品の販売時に特許を取得しておくことは、有効な手段です。今日では、企業間の競争で、スマートフォン、車、エアコン等のあらゆる製品には、無数の特許が取得されています。そして、技術開発の積み重ねにより、驚くべき高度な技術が登場しています。しかしながら、私は、いろいろな発明について特許取得のお手伝いをして高度な技術を見過ぎたせいか、今ではシンプルに、傘とか、靴とか、コーヒーとか、バタートーストとか(笑)、を最初に考え出した人こそ、本当にすごい人なのでは、と思っています。

Page 1 「知的財産権」と言われても…

 私は、特許事務所で弁理士として仕事をしているのですが、特許事務所や弁理士と言われても、何のことだか、わからないと思います。私自身、家族や友人、知人に、自分の仕事を説明しても、「う~ん…」と言われて話が続かなくなることが多いです。なので最近は、自分の仕事を説明すらしないこともあります。よく知られている職業である、税理士さんや弁護士さん、お医者さん、パイロットがうらやましいですね。

 そんな弁理士は、知的財産権というものを扱う仕事です。そして、知的財産権は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、等の形のないものについての権利ですが、一般的には、まだまだよく知られていないのが現状なんです。それで、この場を借りて(笑)、ちょっと紹介しようと思い立ちました!

 まずは特許権ですが、これは、新しい技術を考え出した場合に、この技術を他人が勝手に使えないようにしてくれる権利なんです。例えば、製造業の方が、新たに開発した新製品を販売するときに、この新製品に特許を持っていれば、他人に真似をされないようにしたり、勝手に同じ物を販売された場合に賠償を請求できたりします。逆に、悪気なく製品を販売していても、他人から特許製品と同一だから販売をやめて欲しいと言われるかもしれません。実は、この特許権などの取得をお手伝いしたり、揉め事を解決するのが私の仕事なのです。

 どうでしょう、ここまで退屈にならずに読んで頂けたでしょうか?(笑)。知的財産権は、事業者さんにとっては、「知っていると役立つ権利」だったり、「なかなか使える権利」だったりするのですが、経験上、長い話は聞いてもらえないことを知っていますので、この辺で!できれば、次回もまた、皆様に何かお話を聞いて頂けると嬉しいですね。